レポート・論文とは何か?

さて、一口にレポートや論文といっても、使われ方によって、その意味するところは違います。そこで、似ている文章も含め、ことばの定義を整理してみましょう。

まず、作文や小論文。
私たちは、子どもの頃から数多くの作文を、書かされてきました。作文、小論文、レポート・・・普通はこの順番で出会うと思います。

「作文」
作文は、自分の経験や、感じたこと、考えたことの主観を文章にしたものです。小学校では、書き手の思い(感動、発見、驚きなど)や夏休みの出来事などを書きました。そこでは、事実や出来事を説明的に描写することが目的の文章が必要でしょう。また、その後に、感想や思いを表現する文章が続くでしょう。

「小論文」
小論文は、大学入試や就職試験の科目としてなじみのある言葉ですが、その内容はさまざまです。あるテーマについて、現象の原因を分析したり、対策を考えたりします。国語や英語の要約をやらされたり資料や図表の読みとりをする場合もあります。

小論文では、事実や出来事を説明的に描写することや、現代社会を読み解く重要語の説明が求められます。あなたの意見や主張が求められる課題であれば、「書き手の立場(意見)を論理的に説得する文章」となります。
しかし、小論文は、入試時の短時間、あるいは数日の期限で書くものであり、大学の授業の課題として果たされるレポートとは、やはり種類が違うものと言えるでしょう。レポートの文章は「作文」でもないし、入試の「小論文」でもないわけですね。

「レポート」
<レポート>とは、大学の授業で触れられる中心的話題を扱い、資料の読み取り能力や論理的な思考力、そして客観的な視点と文章力が試されるものです。

タイプとしては、小論文にも必要な「書き手の立場(意見)を論理的に説得する文章」と言えます。小論文と違い、学問分野で重要とされる概念・現象・問題点から自分なりのテーマを設定し、(あるいは与えられ)、一学期の長い期間をかけて調べ上げ、調べたものを練り直す。
 
レポートは、このように少し手間と労力のかかる文章です。実験レポート、意見レポートなど、いろいろなレポートがあります。また、本や資料、論文を読んで、要約したり、考えた意見を書くブックレポートも、よくあるレポートです。

「論文」
では、「論文」ということばは、どうでしょうか。2つほど定義を挙げておきます。

論文の定義(その1)・・・石井(2004)の定義
 

与えられている事実・意見の《引用》に基づき、その事実・意見に対する自分の《判断》の正当性を《根拠》を挙げて主張する文章。これに対し、作文は「自分自身の《経験》に基づき、その《経験》に対する《分析》や《感想》を述べる文章」 

-石井秀明.(2004).必ず受かる小論文・作文の書き方.新星出版社.

論文の定義(その2)・・・戸田山(2003)の定義
(1) 与えられた問い、あるいは自分で立てた問いに対して、
(2) 1つの明確な答えを主張し、
(3) その主張を論理的に裏づけるための事実的・理論的な根拠
を呈示して主張を論証する。

-戸田山和久.(2002).論文の教室 -NHKブックス-.日本放送出版協会.

石井(2004)は、作文(=「自分」のことを直接書く文章)に対比させ論文(=「自分」のことを直接書かない文章)の定義を際立たせています。これに対し、戸田山(2002)の定義では、論文に欠かせない基本的な要素(=問い+主張+論証)に着目して論文を定義しています。

  学術論文や卒論は、日々の授業で書かされるレポートとは、質・量ともに違うものであることは、言うまでもありません。学術論文や卒論の方が分析と記述の量が多く、より細やかで洗練された議論が求められますし、何より学問分野における斬新さやオリジナリティ(=独自性)が必要です。

それに対し、レポートの方は、あなたの着想の斬新さよりも、授業で紹介された基本的な論点を、あなたが、どのように学習し、解釈したかが、問われます。さらに、読み手(=担当の教官)に、うまく伝わるように、いかに明快に表現できたかどうかが重要視されるでしょう。

さて、ここまで論文というものを「文章の構成」や作文・小論文・論文との違いという観点から浮き彫りにしてきました。また、レポートや卒論も、論文の一種と考え、論文の定義を挙げてみました。ここで、今までの議論をふまえて、「論文とは何か?」に対する私なりの定義を書いておきます。

論文とは、書き手の立場(意見)を論理的に説得する文章で、
以下の5つの構成要素を持った形式の文章です。

1.書誌情報・・・タイトル・著者名・著者の所属機関・作成日など
2.序論(≒テーマ、目的、本論の予告など)
3.本論 
4.結論(≒まとめ)
5.引用・参考文献一覧・・・引用した資料のリスト

また、意味内容から論文を定義すると、論文とは、

専門分野における妥当な問いに基づいて1つの明確な答えを主張し、その主張を論理的に裏づけるための<事実>や<理論>による根拠を呈示して説得・論証する文章である 

となるでしょう。

-戸田山和久.(2002). 論文の教室 -NHKブックス-.日本放送出版協会.

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